中東 2018 8 4
多くの日本人には、中東情勢がわかりにくくなっているかもしれません。
そうなるには、原因があるのです。
「民主党びいき」のアメリカ・メディア。
それを翻訳しているだけの日本メディア。
これが中東情勢を理解するうえで「障壁」となるのです。
さて、現代史を振り返ってみましょう。
オバマ大統領は、「世界の警察官をやめる」と主張しました。
慌てたのは、アメリカの同盟国。
喜んだのは、反米国家や独裁国家や強権国家でした。
私は、この時、独裁国家や強権国家の政治指導者は、
「当分、枕を高くして眠ることができる」と書きました。
一方、アメリカの同盟国は、どうなったのか。
「Lexus-A時代」をどう生き残るのかと悩みました。
「Lexus-A」とは、 東京大学准教授の池内恵氏が作った言葉です。
これは、「League of Ex US Allies」の略であり、
日本語では、「元アメリカ同盟国連盟」だそうです。
サウジアラビア、トルコ、イスラエル、日本、さらに英国がメンバーらしい。
このような略語ができるほど、
アメリカの同盟国は、いや「元同盟国」は悩みました。
ところが、トランプ政権が発足して風向きが変わりました。
トランプ政権は、「ABO政策」を推進しています。
つまり、「Anything But Obama」(オバマ以外ならば何でも)という政策です。
私は、オバマ政権時代に結ばれた「イラン核合意」については、
「体裁だけ整えて、中身がない」と批判していました。
もちろん、「金儲け」を優先するならば、
そういう合意でも問題ありませんでした。
イランは、原油大国かつ天然ガス大国ですので、
ビジネスチャンスは、山ほどあります。
しかし、そうなると、
イスラエルやサウジアラビアの立場は、どうなるのか。
イランは、伝統的に両国を敵視しています。
結局、オバマ政権は何がやりたかったのか。
「世界の警察官をやめる」と主張して、
世界を多極化させることが目的だったのか。
さて、親中政権だったオバマ政権時代においては、
日本も冷遇されました。
しかし、日本はラッキーでした。
中国が「AIIB」という「敵失」をやってしまったため、
日本にとっては、「風向き」が変わる契機となったのです。
(注)
「AIIB」構想(アジアインフラ投資銀行)。
イギリス、フランス、ドイツ、イタリアなど、
世界の主要国が参加して、当時の雰囲気は、
「バスに乗り遅れるな」という状態でした。
アメリカは面目を失いました。
普通のアメリカ人ならば、「アメリカを再び偉大に」と思いたくなります。
さて、私は、日本が参加しない「AIIB」は、
「肉が入っていないギョーザのようなものだ」と書きました。
しかし、世界各国は、「バスに乗り遅れるな」と慌てていたのです。
ところで、中国は「敵失」が多いかもしれません。
「羊の皮をかぶった狼」ならば、誰も警戒しませんが、
最初から「狼」が「まる見え」なので、誰もが警戒します。
最近では、「中国製造2025」でしょうか。